床屋における,教育と脳科学にかんする類推的談話

今日,床屋に行った.そこで教育心理学会に行ってきたという話をしたら,「教育心理学では何歳の子供にはどんな教え方をすればいいみたいな話をするんですか」という質問を受けた.確かにそういうこともあるのだけど,基本は分からないよみたいな話をした.そのときにこんなたとえ話をした.

床屋に来た人間の歳や干支や星座が分かったからと行って,そいつにどんなカットをするか,どんな髪型にするかは分からないでしょう.同様に,年齢が分かったってどんな教え方をすればよいかは分からないんだよね.

という感じだ.むろん,年齢と髪型には一定の相関はあるだろうが,だからといってそんな単純な変数一発でカットが終わりなはずないでしょう,と言ったらしきりにうなずいていた. さてさらにその博識の理髪師から「最近は脳科学がずいぶんと発展したので,どうやれば脳に一番いいなんてことも分かったんですか」という質問をいただいた.そこでこんなたとえ話が続いた.

毛髪に関する完全な知識が科学によって得られたとしましょう.そういうことが理髪師全体に広がったとしても,今いる客にどんなカットと髪型をすればよいかは導けないでしょ.

ということです.使ってはいけない整髪料があるとか,そういうことはたしかにこの科学の知見によって分かるだろうけど,どんな髪型にするとか,どの程度切るとかそういうことは次元の違う問題だということだ. けっこういい比喩かなと自画自賛している.

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