NHK「ヒューマン」における農業

最近人類史等についての投稿が何件か続いたけど,ちょうどNHKの「ヒューマン」という番組で農業の発達の話が人類史の文脈で語られていた.
  1. BC12000年前辺りに、肥沃な三日月地帯で小麦が栽培され始めた.
  2. 初期の小麦は実が風によって飛ばされてしまい(タンポポと同じように,タネをできるだけ遠くに飛ばす),日々の食物として十分な量の収穫が得られたわけではない.
  3. 農耕が広まるにしたがって地域間での縄張り争いが激化し、部族間での殺人を含む諍いが増えた.
  4. これを沈静化するために,儀礼が行われ、そこでは贈与,交換がなされるようになった.
  5. この時、贈与,交換されたものは、ビール(麦酒)であった.
  6. (初期には食べ物としてではなく,贈与の対象として小麦が育てられた?所詮、贈与の対象であり日々の食料ではないので,少量の収穫でも問題がなかった?)
  7. そうした時代を数千年くらい重ねた結果,熟しても実がついたままの変異種が現れた.
  8. それによって農耕が爆発的に広まった.
そういうことになるのだろうか.確かに農耕によって暴力や利己主義が広がったというのは,ダイアモンドの本にも、またコクランの本にもあったように思う.また贈与や交換というのは、人類学,民族学がずっと前から膨大な量の研究を重ねてきた最重要トピックの一つであり,そうしたものが先史時代にもあったというのは、なるほどと思う. しかし各々の項目の間で矛盾や,不整合があるように思う.たとえば酒飲みとして嬉しい(?)話だが,小麦の栽培の主目的は宴会用の酒というのは本当だろうか.なんで実がついたままの変異種が、その時代に生まれたのだろうか.食料生産が不十分(ビールしか作れない)なのに、どうして集落がそれほど固まってできたのだろうか、等々. 謎は深まる.

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