昨日(28日)に,東大の繁桝先生の退官記念パーティーに出席した.参加者100名超の盛大なパーティーだった.場所は日比谷公園内の松本楼というところ.ここは年末(?)あたりに安いカレーを出すというイメージしかなかったのだが,むろんそれは私の無知のせいであり,立派なところであった.
繁桝先生は日本におけるベイズ統計学の権威であり,心理学,教育心理学,統計学,意思決定などさまざまな分野の一線で活躍されてきた方だ.初めての出会いは,私が東北大学院受験の時に,受験者対面接官という形のものだ.何か質問された記憶はあるのだが,むろん覚えていない.その後,東京工業大学の助手時代に再会し,数年間くらいはほぼ毎日のように顔を合わせた.その後先生が東大に移られた後は,非常勤を頼まれて,それ以来半年に一度はお話しをするという形でおつきあいをしてきた.
先生の特徴はネガティブな,あるいは後ろ向きな発言,態度がないということではないかな.悪い面ではなく,よい面を見つける,悪い面しかない場合はそれを忘れる,あるいは無視する,というのが,私の印象だ.だから,人を貶さないし,だめなことを延々と議論することがない.また自分の正しさを人に押しつけないというのも,印象的だ.
当日配布された文集の中に,先生についての優れた観察や,おもしろいエピソードが満載されていた.その中でも繁桝先生をよく表す言葉が書かれていた.「桃李もの言わざれど下自ずと蹊をなす」というものだ.これはなんとも,私の繁桝先生に対する印象をよく表す言葉だと思う.