マウスで先祖返り?

Mac Miniを使っているのだが、どうしてもブルートゥースマウスがへたる。しばらくやっていると、動かしても、あまりカーソルが動かなくなり、そのうち接続切れる。しばらくするとまた接続する、そう言うことの繰り返しとなって、イライラすることこの上なしだ。

そう言うことで家人が別のマウスを貸してくれた。これはLogicoolの3つボタン式マウスだ。右と左に押すところがあり、また真ん中にスクロールのためのもの(なんて言うの?)が付いているやつだ。Windowsを使っている時代が一時期あり、この種のマウスはとても懐かしい。

こういうやつ

ただこれを使って苦戦したのが、真ん中のやつを動かすスクロールだ(水平方向のフリックができないのも辛いのだが)。当然だが、このスクロールは現代風になっている。つまり下にスクロールするときには、画面を上の方に巻く、と言うことで前方にロールさせる。これは今のマウスの常識だろう。私もふだんはアップルの純正マウスを使っており、ロールの部分はないが、指を前方にすっとフリックさせる動作で全部やっている。

ところがこのマウスを使うと逆のことをやりがちになる。つまり下にスクロールしたいときに、ロールの部分を後ろに回るように動かしてしまうのだ。むろんそれをやれば、逆にページは前の方の部分にスクロールする。これで相当にイライラが募る。

どうして慣れたマウスと同じ操作ができないのだろうか。それは以前の時代の習慣がよみがえったからだと思う。以前はスクロールはカーソルの移動と関係していた。前の部分に移動したいときにはカーソルを前に動かすと言うことなので、スクロールのボタンの操作は前方方向にロールさせるということだった。これは現在とは逆の操作である。現在はスクロールに関しては、カーソルを動かすのではなく、画面を動かすというものになっている。だから指の動作としては全く逆のものが採用されたという事だ。これに最初に出会った時は相当に混乱したが、もう今ではそれ以外の動作は考えられないほど自分の身についている。

なぜそんなだいぶ昔のスクロール操作が蘇ってしまったのだろうか。それはおそらく「マウスの形状」なのだと思う。最近のアップル純正マウスは、操作部分は全くの平面となっている。そしてその平面の上を上下左右にフリックする事でスクロールや、ページの移動ができる。

しかし今回借りたマウスはあまりにWindows98とかの時代のマウスと似ており、その時代の主流のカーソル移動が可能なように思えてしまう。だから、今とは逆の昔の操作方法が復活したのではないかと思っている。つまり今操作するものの形状によって、もうなくなってしまったかのように思えた操作方法が突然復活というか、先祖返りをしたのではという事だ。

当たり前のことだが、何かの技能(スキル)というのはそれを行使する道具に関係付けられているということだと思う。道具ではないのだが、これを書きながら昔読んだアンディ・クラークたちのダーツの実験を思い出した。彼らは横にものがずれて見えるメガネをかけさせてダーツの練習をさせた。むろんはじめはダメなのだが、徐々に慣れて、自然にまとを狙えるようになる。つまりずれがうまく補正されたということだ。ある程度上達した時点で、もう片方の手で投げさせる。すると(もちろん下手になるのは当然だが)、ずれが補正される以前の状態に戻ってしまうのだ。つまりずれの補正は使う手との関係において成立しているのであり、それと独立した制御プログラムが学習されたわけではないのだ。

道具と身体は同一視はできないかもしれないが、これはものの形状と認知との関係を考えるときに大事な話ではないかと思い、メモした。細い話なのに、まあ長すぎるよね。そこはご容赦を。

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