今回は、表記の通り単なるお知らせです。認知科学辞典がついに刊行されました。私は「思考」という分野の編集委員をしていたのですが、本当に長かったなぁ、という気持ちです。この編集に関わる、最初のメールは1997年の7月になっています(おそらくその前から幹事たちが仕事をしてたんでしょうねぇ)。まあ辞典というのはこのくらい時間がかかるものなのでしょうか。
この辞典の特徴はカバーする範囲の広さにあるといえるかも知れません。今ざっと見たんですが、理論、世界内存在などから、リンク、履歴、隠し味まであります。短いけど、ちゃんと(つまり認知科学的に)解説されています。
ところでこの短さは執筆の悩みの種でした。200-400字程度で正確に、かつわかりやすく説明するのは大変に難しく、私も数十項目ほど書きましたが、まるで大学院の入試の答案を書いているような気持ちでした。
値段ですが、非常に高い、35000円もします。まあ関連辞典、事典(脳科学事典、ニューロ・ファジィ・AIハンドブック)などをみるとこのくらいの値段になっているのでしょうがないのでしょうか。CD-ROMにもなるそうです。これはいくらなんでも35000円ということはないでしょうから、一般にはこちらを買うことになるのでしょうか。
なんか否定的なことばかり書いているようにとられると困るので、強調しておきましょう。便利な辞典です。認知科学だけでなく、人工知能、インタフェース、(認知)心理学、認知神経科学の研究者にも役に立つものだと思います。自分では買わないにしても、図書館、図書室にはいれてもらいましょう。